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第二十一話 登場人物ではない

Author: 天咲琴乃
last update publish date: 2026-09-16 13:03:47

 列車は、闇の中へ消えた。

 最後まで残っていた鈴の音さえ、聞こえなくなる。

「……チョコ」

 イズミは線路を見つめたまま動けなかった。

 黒い本だけが、冷たいホームの上で開いている。

《白狐チョコ》

《登録情報を照会》

《該当する登場人物は存在しません》

「そんなわけない」

 イズミが呟く。

「ずっといた」

 第一話から。

 石の鳥居の下に。

 写真の中に。

 白い世界に。

 記憶領域に。

 いつだって、あの鈴の音が自分を導いていた。

「登場人物じゃないなら……チョコは何なの?」

 誰も答えなかった。

 代わりにタカオミが手帳を開く。

「確認します」

 ペン先が震えている。

『白狐チョコは、少なくとも第一話以降、天野イズミたちと行動していた』

『しかしFICTIONの登場人物情報には存在しない』

「……待って」

 イズミが振り返る。

「第一話以降?」

「はい」

「違う」

 頭の奥。

 古い記憶が疼く。

「もっと前からいる」

 幼い自分。

 石の鳥居。

 白狐。

『わたしがわすれても、チョコがおぼえてる』

「子どものころから……」

「その記憶が本物なら、です」

 タカオミが静かに訂正
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